私はあまり本を読む方ではない。
本屋が趣味、などと書くと、大層な読書家で部屋が本だらけの人みたいな誤解を与えるかもしれないので先に断っておきたい。
そもそも、私がこれから書こうとしているのは「特定の本屋」の話であって、本そのものとか本屋全般が広く好きなわけではないのだ。
以前書いたようにイオンモールが「ワクワクの空間」であるなら、その本屋が「リラックスの空間」であるというくらいの話。
(※写真はフリー素材。『とある本屋』とは無関係です)
家から車で30分程度の場所にある、少し大きめの本屋。疲れた週の休日に時々訪れて「徘徊」するのだ。
小説コミック実用書に雑誌と、品揃えは申し分ない。文具や雑貨、レンタルDVDやゲーム販売のコーナーもある。
店内をフラフラとさまよい、目についた本をチラチラと立ち読みしてまたすぐ徘徊に移る。
一冊の本に興味が続くのはせいぜい1分程度で、3分も同じ本に目を落としていれば長い方だ。
ちなみに好みのジャンルは、ざっくり言って「ホッとできる本」。ゆるめのエッセイとか、ストレス解消・リラックスの方法を説いた新書とかが筆頭に挙がる。
昔はラノベとかも読んだものだけど、最近なぜか小説はちょっと苦手。
私の休日が土日ではないことも一因なのか、広い店内は人も多すぎず随分静かで、BGMのよく知らないジャズが薄く空間を満たしている。
さて、活字に飽きたら文具のコーナー。
特徴的な機能の事務用品や見た目のいいペン・ノートを眺めていると、デスクワークや趣味のアレコレを素敵にこなす自分がイメージされて(儚い妄想だ)謎の満足感がある。
雑貨のコーナーはオシャレだし、なんかいい匂い。
良すぎて、部屋用のアロマスプレーを衝動買いしてしまったことすらある。
いい匂いの石鹸やバスソルト等も実は興味なくはないのだが、実家暮らしで自分ひとりの家ではないのでとりあえず辛抱だ。
以後、書籍・文具・雑貨コーナー徘徊の繰り返し……
……そうこうしているうちに、たいてい1時間以上は入り浸ってしまう。
このままではただの迷惑な客かな?みたいな後ろめたさから、利用料代わりみたいな感覚で本や文具をちょこっとカゴに入れてレジに進む。徘徊中に気になった中から選ぶのだ。
そうだ、読んでいる漫画の新刊が出ていればそれも買っていこう。
風除室から駐車場へ、自動ドアをくぐること二度。生活圏からそこまで遠くない場所なこともあり、店を一歩出たらそこは途端に日常の風景だ。
私として本屋の徘徊はすごくリラックスするだけに、名残惜しさも強い。
もうちょっと過ごしてても良かったかな?
……そんな淡い後悔も残しつつ、正直ちゃんと読むかどうかも分からない数冊の本を抱えて、また慌ただしい生活に戻っていく。
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